追い焚き配管洗浄は本当に必要?プロが現場で感じた「やるべきタイミング」と判断基準
「追い焚き配管洗浄って、本当にやった方がいいんですか?」

これは現場で非常によく聞かれる質問です。
先日行った追い焚き配管洗浄の作業を通して、**単なる事例紹介ではなく、“どういう家が必要で、どういう場合は急がなくていいのか”**という目線で、少し踏み込んだ話を書いてみようと思います。
そもそも追い焚き配管は“洗う前提”で作られていない
まず前提として知っておいてほしいのが、
家庭用の追い焚き配管は 定期的な分解洗浄を前提に設計されていない という点です。
エアコンや換気扇と違い、
- フィルターがない
- 内部が完全に密閉されている
- 日常的に中を確認できない
この3点が揃っているため、
汚れが溜まっても「異常として気づきにくい構造」 になっています。
実際に多い「勘違い」
今回ご依頼いただいたお客様もそうでしたが、よくある勘違いがあります。
- 毎日お湯を入れ替えているから大丈夫
- ジャバを年に数回使っている
- 見た目がきれいだから問題ない
結論から言うと、
これらは「汚れが溜まらない理由」にはなりません。
追い焚き配管は、人が入った後のお湯・皮脂・石鹸成分・入浴剤を含んだ水を、
配管内に吸い込み、再加熱して戻す仕組みです。
つまり、
どんなに見た目がきれいでも、条件が揃えば内部は確実に汚れます。
今回の現場で分かった「典型的な汚れ方」
洗浄作業を進めると、浴槽の中に
- 緑黒っぽい濁り
- 細かいカス状の浮遊物
- 湯垢のような成分
がはっきりと確認できました。
これはカビではなく、
皮脂汚れ+入浴剤成分+雑菌が混ざったものです。
特に入浴剤をよく使う家庭では、
- 配管内に成分が付着
- 水を抜いても内部に残留
- 温度と栄養が揃い、菌が繁殖
という流れになりやすく、
年数が経つほど“濁りの色が濃くなる”傾向があります。
市販洗浄剤とプロ洗浄の決定的な違い
ここも正直に書きますが、
市販品は「無意味」ではありません。
ただし、目的が違います。
- 市販洗浄剤:軽度の汚れをリセットするもの
- プロ洗浄:長期間蓄積した汚れを剥離・除去するもの
市販品は「予防」。
プロ洗浄は「リセット」。
この違いを理解していないと、
「やったのに汚れが出た」
「意味なかったのでは?」
という不満に繋がります。
やるべきタイミングの判断基準(保存版)
現場経験からお伝えすると、
以下に当てはまる場合は 一度プロ洗浄を検討する価値があります。
- 築5年以上、または入居後5年以上
- 小さな子ども・高齢者がいる
- 入浴剤を頻繁に使う
- 追い焚き時にニオイや違和感がある
- ジャバを使ってもスッキリ感がない
逆に、
- 築浅(1〜2年)
- 入浴剤なし
- 追い焚き頻度が少ない
こういった場合は、
過度に心配する必要はありません。
清掃業者としてあえて言うこと
私たちはクリーニング業者ですが、
「全員に必ず追い焚き配管洗浄が必要」とは思っていません。
ただ、
知らないまま10年以上使い続けるのはリスクが高い
というのが正直な意見です。
一度リセットしてから、
- 市販洗浄剤で予防
- 使用状況に応じた間隔で再洗浄
この考え方が、費用面・衛生面ともに一番バランスが良いと感じています。
見えない部分にお金をかける価値
追い焚き配管洗浄は、
「やったから劇的に生活が変わる」ものではありません。
ただし、
- 安心感
- 衛生面の不安軽減
- 家族への配慮
こういった“目に見えない価値”を求める方には、
確実に意味のあるメンテナンスです。
この記事が、
「うちはどうなんだろう?」と考える材料になれば幸いです。
